このブロック塀はウチのものなの?

 カテゴリー: 

Q:隣の家との境にブロック塀があります。これはウチのものですか?

塀や屋根、樹木など、隣地に越境していたり、境界が明確になっていないようなケースはよくあること。隣の家との境にあるブロック塀は昔からあるけど、どちらが所有しているのか、所有をはっきりさせる必要があるのか、疑問にお答えしていきましょう。

まずは隣地との境界線を明確に

ブロック塀の中間に土地の境界線があるケースは本当によく見られます。このブロック塀が壊れた場合、自分とお隣がお互い修繕費用を出し合うのがルールですよね。

しかし、昔はほとんど覚書など交わしていなかったので「境界はここだから、このブロック塀はお互いのもの」という暗黙の了解があり、それが今日に至ります。したがって、ブロック塀の中間に土地の境界線がある場合など、どちらの所有かわからないケースが多くなるのです。

一方、近年新しく建てられた住宅では、塀やフェンスは新しいものが設置されています。それらは、もちろん建てた方のものです。新しく建てられた住宅では、きちんと測量したのち設置するのでこうしたケースが増えています。後々になってもめることが多いため、昔のように境界線の真上に設置するやり方はほとんど取りません。

ですが、代々長く住んでいるお隣さん。もちろん人にもよりますが、話がちょっと厄介なことになるケースも。「このフェンスはウチのものだって親から聞いてるよ」とお隣の息子さんや娘さんなどが言い張るというのは、よく聞く話です。

測量図を調べてみても微妙。きちんと測り直してみたら、自分のものだったことが明らかになりました。それでお隣さんが納得してくれればまだいいんですが、「いや、そんなはずはない」「ウチのものだと聞いてたのに。それじゃウチの土地が減ってしまう」など、いろいろと言ってくる人も少なくありません。

合意した内容は覚書で残しておく

塀やフェンスとともに、所有者の間でトラブルになりやすいのが「私道」です。狭いので、車を車庫入れするときにどうしても通ってしまう、というケースはよくあります。今なら覚書で「車庫入れの際に通過することを認めます」などとする通行承諾を交わしておくのが常識です。

しかし、昔はほとんどの場合、暗黙の了解で済ませていました。そのため、地域の人に聞いてみると「昔からここは皆で使っていい通路なんだよ」とおっしゃる。ところが、謄本を調べてみるとちゃんと所有者が存在しました。ただし、もう近くに住んでいないために、あやふやになっていることもよくあるケースです。

土地を売却する場合、きちんと測量をしなおして、境界と所有者をはっきりさせた上で引き渡さなくてはいけません。測量の費用は数十万円かかり、売主様の負担になります。売主様は、「仲介手数料と測量の費用は売却価格から引かれる」と考えていてください。測量費用と仲介手数料、抵当権の抹消費用は売主様の負担で、これは不動産売却時のルールなんです。

このことを売主様にあらかじめ言わない業者も少なくありません。物件をお預かりする際には言わず、いざ買主様との契約という段階になって、初めて「実は……」と少なくない金額を言い出すわけです。後から聞かされた売主様にしてみれば、「そんなにお金がかかるなんて、聞いてないよ」と憤慨してしまうはず。そう言った話が出ない時は、不動産会社の担当者に確認してください。」

さて、問題のブロック塀ですが、「どちらの所有か不明」という状態のままでは買主様に引き渡しできないのは、申し上げた通りです。一方、「境界がはっきりしたのですぐに壊します」というのも合理的ではありません。そんな場合は、「将来、建物を建て替える際に、正しい位置に設置し直します」といった覚書を交わしておくのがいいでしょう。